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脱ぎ捨てられる昨日

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クリスマスの終わりとそれからのメモ1

梅田のクリスマスイルミネーションを見ながら、最近の照明、あれはLEDだろうか?
ずいぶんすっきりとした光で、スタイリッシュでパキッとして見えるなと思う。

いっぽうであたたかみやにぎわいを感じることのない光よなあ、と思う。
その光に、人の干渉を感じさせない。だれかがセッティングし、スイッチを入れたんだろうか?
そういうことがあいまいになる。
街灯がたくさん光っていることとの差を感じにくいというか。

かつては光がたくさんあって人が集まるということ、それは圧倒的な富であって、華やかなにぎわいを感じさせたのだろうけれども、この時代に大都会で、夜たくさん明かりがあって人が歩いているだけで「明るさ」や「にぎわい」を感じるのは難しい。

きっと江戸時代なんかの夜の繁華街というもの、ろうそくだとか油やたいまつだのを皆で燃やしたりだのしていたころは、毎晩祭りのように感じられただろう。そこを行く人たちと、そこで商う人たちの交わり。その明暗を肌身で感じることができただろうと思う。

そのにぎわいのファンタジックさを想像する。毎夜祭りのようであったろうな。
光や人が集まるということ、ただそれだけで特別に物語的であったころ。

最近のクリスマスツリーは、暖炉とサンタクロースや冬の夜の寒さのイメージからはずいぶん遠いところにきている気がする。


この間観た『タクシードライバー』は、照明がネオンだったころの繁華街を走っていた。
あの、光があることによってより薄暗く感じるような、どこか陰鬱な華やかさというのも、わたしは見ることのないまま過ぎていきそうな気がする。

……かつてのようにわざわざろうそくを灯さずにすむようになった生活というのは、「便利になった」といわれる。よく上の世代に言われることに、「今の世代は何でもあっていい」「今の子供は贅沢だ」ということがあって、スイッチひとつで明かりがあることはさもそうでないことよりも確かに楽で豊かであるのだけど、それは一方で、この時代の相対性の中では、ろうそくのようなものは贅沢品になったということでもある。
もちろん、必然として手間を要求されなくなったこと、楽になったということにかわりはないのだけれども。よい明かりを灯そうと思えば、コストと時間がかかるのだ。


部屋を暖色照明にしたいとか間接照明にしたいと思っても、蛍光灯やLEDライトのほうがはるかに電気代が安いとか省エネであることなどから結果的にそっちを選んでしまうということ、そしてそのこうこうと明るい照明の下で夜を過ごすということ。
確かに誰もが便利で長持ちするものが手軽に手に入って良い時代なのだけれども、一方ではそれはそうでないものを選べば得ることのできる雰囲気とか、風情とかいうものは得ることができない。そうした中でろうそくや行灯のようなもので灯を得ようとしたらそれは贅沢、趣味の領域になる。
現代においては、そうした明かりは質素や清貧ではなく、高級なことだ。

……サーシャ・テューダーの暮らしを見て、「質素な、ものをほしがらない自然な生活」と思うのは間違いで、彼女はベンツやブランドドレスをほしがらなかっただけで、この時代の不自然を、贅沢を選んだのに変わりはない。労力をかけて庭を作り上げ、味わいながら、手間隙を惜しまず自分だけの生活を作り、古い手作りの自分が気に入ったものだけを買い揃える。周囲のすみずみにいたるまで自分の好みにし、日常世界から自分にとって不要なノイズを排除する。
そうしたことは、身の回りのものを大量生産品で間に合わせざるを得ず、日々家の中でまで広告に囲まれ(このブログも気づかないうちに広告が強制的についてしまった)、労働で時間を手放さざるを得ない現代の生活にとっては、贅沢なことだ。

ターシャは決して貧しさを選んでいるのではない。


***


近所のジャズバーの前を通りかかると、窓から真っ暗な店内、古いツリーが飾ってあり、豆電球がピカピカと明滅を繰り返していた。あかあかとしたその明かりに思わず足を止め、ようやくクリスマスがきたという感じがする。ああしたツリーはわたしが子供のころにはよく売られていたなあ。「豆電球」には、ノスタルジーをのぞいても、光のあたたかさをだいぶ感じられる。


***

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