「荒木飛呂彦の超偏愛!映画の掟」を読んでたら映画「バタフライ・エフェクト」に触れていて、わたしは観たことがないのだけれど、過去のある時点にもどって何度もそのときを経験するような話であるらしい(違ったらすみません)。
それでふと思い出したんですが、10年以上前、堂本剛主演で、主人公が事故がきっかけで何度も過去に戻るようになり、そのため最初のループのうちは、ミスの多かった人生をやり直せるからラッキーだと思い、結果を知ってる馬券を買ったりしてお金持ちになったりするんだけども、毎回99年だかゼロ年を決して越えられない、結局また過去に戻ってしまう…しかも戻るたびにループする前の最初の人生で発生していた不幸が悪化する、というようなドラマをやっていたことを思い出しました。何回やり直しても99年だかゼロ年を越えられないので、それじゃあ金持ちになろうがなんだろうが同じじゃないか、というように、主人公や擦れていきます。
確か河合我聞が友人役。最初の人生でも堂本剛の親友で、何度めかのループまでは仲良かったのに、あるループで堂本剛の忠告を決定的にきかず、のっぴきならない事態をまねき、堂本剛の目の前で自殺する、というような流れがあり、河合我聞が色白の顔で目鼻をひくひくさせて泣きながら拳銃自殺するシーンの妙な情けなさがけっこう切なく、妙に覚えています。ドラマ自体は細部がなんとなく雑というか、そっけない作りで、あまり愛着を感じられない、登場人物に共感しにくいつくりだった記憶があります。そのぶん不気味な感じの作品でもありました。
わたしは過去にも、はじめて「バタフライ・エフェクト」のあらすじに触れたとき、「ああ、あのドラマはこの映画の影響で制作されたのかな」と思った記憶があります。というのも、何か下敷きになる既存のストーリーがないとできるような感じの話ではなかったからです。でも今調べたら、ドラマのほうが古く99年作らしい。後々考えれば90年代のおわりからゼロ年代はループものや平行世界ものが大量に作られていたので、別に珍しいものでもないのかもしれませんが、当時のドラマって時々今以上に、ひとりで夜書いたり呼んだりする手紙っぽいというか、ちょっと閉鎖的な感じのする内容のドラマをやっていたのだなと思います。
この文章を書き始めたときはあのドラマのタイトルなんだっけ、誰か教えてくれないだろうかと思っていたのですが、今はWikipediaがなんでも教えてくれることを思い出しました。「君といた未来のために〜I'll be back〜」というタイトルの作品であるようです。もう15年くらい前の作品だったのですね。そして河合我聞は別に出ていなかったみたいです。わたしが見たと思っていたものは一体なんだったんでしょうか。
未来こそが僕の帰る場所だ!という前向きなタイトルであるように見えるんですが、99年ごろのあの世紀末感を感じさせるなあとも思います。99年ごろの作品にとって未来ってあの世みたいな扱いでした。
そして同じように堂本剛主演の「僕らの世紀未満都市」などがそうなように、この作品もDVD化していません。この当時の、メジャーだったのにマイナーな感じのする、ちょっとガラクタっぽいところが魅力の作品の多くが、退屈な理由で(少なくとも噂される理由は)ソフト化していないのは残念なことです。たとえば木村拓哉主演の「ギフト」とか……(正直新しく木村拓哉のドラマを観るよりは、「眠れる森」などこのころの作品を観たほうがずっと確実に彼の俳優としてのきらめきを感じられると思うので、復刻を期待するところです)。そして私はそれらのほとんどの最終回を見ておらず、「君といた未来のために」のオチももちろん知らないのでした。
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